Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

「許してやらない。許してやらない。絶対に許してやらない」

女は手をゆるめなかった。小荷物を扱うように、五郎を乱暴にとり扱った。それはまるで器械体操のようなものであった。観念して全身の力を抜いた時、裏山の方から大勢の歌声がかすかに聞えて来た。意味も何も判らない。一節歌い終る度に、はやし言葉のようなのが聞える。

「はん、はん、はん」

「はん、はん、はん」

そんな具合に五郎の耳には聞き取れた。その歌声がだんだん近づいて来る。――

「だめだ。どうしてもだめだ」

五郎を強引に処理し終って、女は立ち上り、いらだたしげに言った。

「このままじゃ、だめになってしまう」

そして五郎を振り返りもせず、せかせかと裏口から出て行った。独りになると、別の恐怖が彼にこみ上げて来た。

〈ここにいたら、たいへんだ〉

五郎は立ち上り、大急ぎで身づくろいをして、土間に降りた。表の入口の縄筵からのぞくと、やはり人影はひとつも見えなかった。沖から風が吹き、黒い雲がしだいに近づいて来る。

「今だ!」

五郎は砂浜に飛び出した。浜に上げられた漁舟の艪臍の上に飛び乗り、がたがた歩いて、舟板をめくった。中は小さな舟底になっている。