Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

沖縄は既に玉砕したし、大和の出撃も失敗に終った。日々に訳す暗号電報から、味方の惨敗は明かであった。連日飛来する米機の様相から、上陸が間近であることも必至であった。不気味な殺気を孕んだ静穏のまま、季節は八月に入って行った。八月一日の真夜中、私は当直に立っていた。

土の臭いのする洞窟の、薄暗い灯の下で、皆不機嫌の眼を光らせて、暗号を引いていた。ときどき電信室の方から、取次が眠そうな眼をして電報を持って来た。暗号書をめくる音が、変に小うるさく感じられた。私は手を伸ばして、今持って来た電報を取り上げた。作戦特別緊急電報である。はっとして私は頭を上げた。いよいよ何か起ったのではないか。私は急いで暗号書を繰った。一語一語、訳文書に書き取った。

「敵船団三千隻見ユ。針路北」

大島見張所の発信である。私は立ち上った。

「敵船団の電報です」

当直士官の眠たげな顔に、一瞬緊張の色が走った。

電鈴が鳴って、すぐ幕僚室に通報され、暗号室に至る通路に、枕を並べて眠っていた暗号士や掌暗号長や通信士が、兵隊に起されてぞろぞろと起きて来た。暗号室に入るとき、一様に眼をしかめ、灯から眼をそむけるようにした。