Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
自分はいまもっとも強くなければならない、これまでのどんなときよりも強く、力をゆるめずに、しっかりと立っていなければならない。それなのに、このような淋しい虚しさを感ずるというのはなぜだろう。自分にそれだけの力がないためか。涌谷の性格が変ってしまい、頼む周防に死なれて、独りだけになってしまったからだろうか。それとも、もともと自分は弱い人間で、こういう大事に当面する力がなかったのだろうか。
「いや、これでいい、これがしぜんだ」かなり長い時間ののち、甲斐は自分に向かって頷いた、「人間はもともと弱いものだし、力のあらわれは一様ではない、鉄石の強さも強さ、雪に折れない竹の撓みも強さだ、ここで剛毅心をふるい起こすよりは、この虚しいもの淋しさを認めるほうが、おれにとっては強さであるかもしれない」
駕籠が湯島の家へ着いたときは、もうすっかり昏れて、町の家並には灯がはいっていた。甲斐は政右衛門に「飯をたべてゆけ」と云ったが、彼は辞退して去った。去ってゆくとき、彼は甲斐の顔をじっと見まもり、まるで怒っているような調子で云った。
「御前、どうかご身辺にお気をつけて下さい」