Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
「どこを見ているの、新さん」
「煙が眼にはいったんです」
「ちょっと」おみやが呼び止めた、「あんた、ずいぶん薄情ね、そのままいってしまうの」
「なんですか」
「あたしだってながしてあげたじゃないの、背中ぐらいながしてくれるものよ」
新八は向うを見たまま立っていた。
「ねえ、背中だけでいいわ」
新八は黙っていた。
「そんなにうしろ向きに石地蔵を置いたように突っ立ってないで、こっちを見てなにかお云いなさいな、ねえ新さん、あんたあたしの裸を見るのが恥ずかしいの、そうでしょ、あんたいろけづいたんだわ」
新八は拳をにぎった。
「そうじゃなければ、背中ぐらいながせない筈はないことよ、だって、あたしたちきょうだいになるって約束したんですもの」
「蚊遣りが、消えますから」と新八がいった。
「いいわよ、たんとそうなさい、もう頼まないわ」
「済みません」
新八は六帖へ去った。うしろでおみやの、含み笑いが聞えた。
彼はついにおみやのほうを見なかった。しかし、もう薄暗くなりかけた勝手のそこに、脂肪ののった、白い、素裸な女の体のあることは、眼で見るよりも鮮やかに、なまなましく彼の感覚が見ていた。