Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
兵部は聞き終ってから、「そのさる人と申すのが、余だというのか」と云って微笑した。
六郎兵衛は答えなかった。兵部は微笑したまま云った。「それではさだめし、さる人がなぜそんなことをしたか、その理由もわかっておるだろうな」
「理由は表裏二面あります」と六郎兵衛が云った、「その一は、陸奥守どのが兄君お二人をさし越して家督を相続された、これを正しくするということ、その二は、陸奥守どのに代って、その人御自身が六十万石のあるじに直ろう、という御計画です」
「そして、それがこのおれだというのか」
「私はお役に立つつもりです」
「おれが六十万石のあるじに直るつもりだというのか」
「お断わり申しますが」と六郎兵衛は云った、「私がここへ参上するには、つかむだけのものをつかんだからのことです、御継嗣を誰にするかという入札のことも、その入札のなかに、一ノ関さまの御名のあったことも存じています」
兵部の顔がひき緊った。六郎兵衛はそれをしかと認めてそうして云った。
「私はお役に立つつもりです」
「――望みを申してみろ」と兵部が云った。
六郎兵衛は平然と答えた、「さしあたり五百金、そのあとは月づき三百金、臨時の入費はべつに頂戴いたします」