Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
甲斐が盃を取ると、信助が話しだした。
船岡では気候に変調があり、五月ころのような陽気がつづいたため、麹屋ではくるみ味噌を十幾樽かだめにしたそうである。だめにしたとは腐らせたのか、と甲斐が訊いた。いや、味噌のことですから腐りはしないでしょうが、くるみが混っているために味が変って、売り物にならなくなったということです。十幾樽とは大樽だな。もちろんそうでございましょう。それは損害だな、と甲斐は苦笑した。
「では麹屋はもう作るまい」
「そうでしょうか」
「彼は初めから気がすすまなかった」
甲斐は苦笑しながら云った。
彼がくるみ味噌を作らせたのは、土地の名産の一つにしたかったからである。そして麹屋又左衛門に相談した。麹屋は古くから船岡で醸造を営んでいたし、原田家の金御用をも勤めていた。相談をうけた又左衛門は、くるみを味噌に搗き混ぜることは、保存がむつかしいし、風味の点で一般的とはいえない。売れてもさしたる利益はないだろう、と難色をみせた。甲斐は大きな利益を期待したのではなくそれを名産として、うまく販路をひろげることができればたとえ利率は少なくとも、将来一定の年収に加えられるかもしれない、と思ったのであった。