Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate

Aozora Bunko

涙が後から後からと、止め度もなく溢れ出した。先生に言う前に一言私にそう言ってくれたら、それでも無理に学芸会へ出たいとは決して言わないのにと思うと、それが怨めしくて涙が湧いてきた。学校が一番でさえあれば、跛者跛者と言われずに済むと思っていた。自分の夢が破れたのが口惜しくて、また泣いた。涙がみんな出尽したと思った頃、私は背中に優しい母の手を感じた。

そしてやっと母に抱き起されて、泣きじゃくりながらわけを話した。「そして……それからお前はどうしたの?」と私を抱きながら、先を促し促し母はほうり落ちる私の涙を拭いていてくれたが、突然拭く手をやめて、母が呼吸もつけないくらい私を抱きすくめたので、吃驚して顔を挙げてみたら、母はブルブルと身体を顫わせながら、妙に唇を歪めて、今にも泣き出さんばかりの顔をしていた。そこへ銀行が退けて、いつものように莞爾莞爾しながら、父がはいって来た。そして怪訝そうに母に何か尋ねていたが、急に顔を曇らせると、つと起って、窓の側へ行って両手を背後に組んだまま、いつまでも階下の庭を見下ろしながら突っ立っていた。

私は、母の腕に抱かれたまま、もう涙も乾いてしまった顔を挙げて、壁の龕灯を眺めながら夢のような気持で考えていた。