Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate

Aozora Bunko

しかもやっと顔を出して来たオヤジというのが、この陰惨な犬屋の店に相応しく、日陰からでも生れてきたような妙に陰鬱極まる人物で、ほとんど口もきかずに、薄暗がりに突っ立ったままはいって来た私たちを観察するかのように、ジロジロと眺め廻しているのであった。

プウンと饐えた臭いを身体から発散させて、見るからに貧弱な小男の、年の頃はまだ四十そこそこくらいであったろうか? 皺の多い顔の奥から金壺眼を眼鏡越しに光らせながら、猶太人の冠るような縁なし帽に鉤裂きだらけの上衣を着けて、薄暗い土間の奥からこんなオヤジに観察されていることは決して気持のいいものではなかった。

「私たちはルロイ・ソレルの夫人から教わって来たんですが。お宅でお売りになるという……あの……珍しい犬というのをちょっと見せていただけませんの?」

「可笑しいですね。ルロイ・ソレル夫人がそんなことを仰るわけはないはずだが……」

「だって教えて下さいましたのよ」と妻は平然として微笑んだ。

「人に吹聴されては困るけれど……貴方だけにはお教えするけれど……まあ行って頼んで御覧なさい。一匹くらいならきっと何とか都合してもらえるでしょうって……」