Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ははおや
母親
若杉 鳥子
Leggi 母親 (ははおや) di 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7750 caratteri · 16 schermate
「市ヶ谷富久町×××番地とある。名前は池田まさ――と書いてあるよ。」
そのあくる朝だった。母親が湯たんぽをとりかえるために、病人の足に触ったら、しんしんと冷めたくなっていた。揺り起こして見たが返事もしなかった。
息子はとうとう壁の方を向いて、知らないうちに絶息していた。
ふだんから偏屈な独りぼっちの男だったので、友人一人悼(いた)みに来なかった。また知らしてやる処もなかった。
俺が馘にでもなって見ろ。この生活は誰が背負うんだ――息子はよく口癖にそういって、自分や娘にあたった。だが、全くあれには青年らしい日が一日もなく死んでしまった――そのことを母親は一番辛く考えた。
しかし長い間の病人を見送って、彼女は今始めて、台所と子育てとの不生産的な生活から解き放たれたような気がした。
市ヶ谷富久町は、古い細かい家のごたごたした街だった。池田という家は人にきいても解らなかった。彼女は一時間もまごついた末、やっと曲がりくねった小路の突き当たりに、その家を発見した。
「池田さんはこちらですか?」
格子を入って、内部の様子を見た。どうも普通の家らしくない――と思った。