Classici giapponesi con furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Leggi 油地獄 (あぶらじごく) di 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.624 caratteri · 69 schermate
ことが出来る、すでに醜い所を指すことが出来ればそれでもほれると云う理は無い。貞之進は我膳の前へ斜めに坐った芸妓が、ほんのりと強られて酔った頬におしろいの匂うのを、何の気もなく見ると向うからもふと見たので、周章てゝ顔を背けて後の障子へ憑かゝったが、すぐとまた見たくなってそれとなく見るに、自分が向うを見ながら向うが見るようで自分が恥かしく、目も鼻も口もたゞ何だか好い女におもわれて、それより上の考えもまた下の考えも出なかったが、程経ってこの芸妓の名を何と云うかと知りたくなった。
彼の右隣の男は、今や十二分に酩酊で、オイと云て猪口をその芸妓に献し、お前の名は何と云う、名札を呉れ名札をと、同じことを二つ重ねて問懸けた。名札はありませんとその芸妓はすげなく答えたが、やがて帯の間を探って名札だけ取出し、上げましょうか。おゝ呉れと二度言わせて渡したのを、彼男は眼を皺めて見て、それじゃア歌ちゃんかと云て、あはゝアと面白くもないことを声高に独り笑って居た。名を知りたいと思った貞之進は歌ちゃんとだけ分りは分ったが、芸妓の名はそれでは分らない、歌吉か歌助か小歌か歌子かたゞしはそのまゝのお歌か、つい一言尋ねた