Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かせいのまじゅつし

火星の魔術師

蘭 郁二郎

Leggi 火星の魔術師 (かせいのまじゅつし) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.120 caratteri · 302 schermate

Aozora Bunko

「どうじゃ、ちゃんと書いてあるじゃろう……、一五八二年一月十日とな」

成程、そこには薄い字ではあったが確かに 1582. 1. 10 と書かれてあった。

一五八二年の一月

「で、どの位に売りたいのですか」

「そうじゃね、そう大してもいらんが研究費として十万位でどうかの」

「十万――?」

本物とすれば、それは不当な値段ではないかも知れない。しかし、私にはこの薄暗い部屋の中でありながら、見ればみるほど、次第にこの画が甘くなって来るように思えた。

「一五八二年――とすると……」

私は、手帳を出して繰って見たが、やがてアッと思うことを発見した。

「鷲尾さん、折角ですが、この画はとてもそんなには売れませんよ」

「そんなには売れん――? どの位じゃ?」

「とても、その千分の一も六ヶ敷いでしょう……」

「バカッ!」

鷲尾老人は、眼の色をかえた。

「な、なんという……ばかナ……、これが、に、偽物とでもいうのか」

「……残念ながら……、そうです」

「だ、だからいっとるのが解らんのか、ちゃんと日附まで這入っとるのが……」

「だから、その日附があればこそ、偽物だというのですよ」

老人は、胸のあたりに握りしめた拳を、わなわなと震わせていた。