Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
基経は念を押すように娘の方を見た。橘は祷るように父に何もいうなという怖気のある色をうかべて、もう、鳥を射つのは可哀想だという意味をも含ませた眼附だった。だが、基経はきょうは何としても父親としてとるべきものを尽くさねばならなかった。二人の男にはさまれた娘をそのいずれかに委さなければならなかったのである。
「素早い水鳥じゃ。」
津の茅原は烈しい眼附で弓を手元に引きよせた。
「一射でも行けそう。」
和泉の猟夫の眼はぎらついて、何時でも矢を番えるようなじりじりした身構えを基経の息づかいに打交して行った。基経はもう寸時も猶予していられぬ切迫したものを浮き沈みしている小さな水鳥の、迅い羽捌きの微妙さに、しだいに彼自身すら妙に刺戟されて行った。基経はここで彼らのいずれかを選ばなければならず、そのいずれかの一人を娘から引離してしまわねばならなかった。父としての基経は耐え切れず大声で突然命令するように厳しくいい放った。
「あの水鳥を射止めた御仁に橘を進じ申そう。」
「お父上様。」
橘はなにやら小さい声で制するものを制しようとしかかった。眼はおとめの怖れで、怖れているために比類ない美しさを一心にこめていた。