Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate

Aozora Bunko

間もなく赤の飯はふっくりと炊かれ、小豆は赤ん坊のようにあどけなく柔らかく蒸れて、あまい、淡さりした餡の深い味いを蔵していた。かれらは、明日は別れなければならぬひと時の食事に、塩した干魚をかじりながらも幸福だった。小豆があったからには我らは永く倖せになるだろうと男がいえば、女はお手玉の五枚のきれを叮重にたたんで、そしてあやまるようにいった。

「小豆を見付けましてまたしまって置いてやります。」

この何者に対っていうでもない礼儀ある言葉は、こんな日にことさらに心に応えるものがあった。かくて貧しい埴生の宿のひと夜を彼らはゆっくりと睡るべく、寝所にさがって行った。そとは深々としたしぐれが罩めるように降りつづいていた。

津の川波は鱗がたの細かい皺を見せ、男の古い狩衣には少し寒いくらいだった。青い下帯をしめた彼は渡舟を待つあいだ、筒井と土手に腰をおろして憩んだ。同じ古い袿に釈迦仏を懐中に秘めた彼女は言葉すくなに夫とならんで、かぞえ切れない鱗波の川一面にある文様を見入った。

渡舟は同時に東と西からその姿をあらわし、この岸べに着くと同時にまた立つはずであった。筒井はなにもいうことがなかったが、人はこんなふうにして別れるものであること、すこしも行末のことに愁いをもたずにいることが甚だしい間ちがいではなかろうかと、そんなことを