Classici giapponesi con furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Leggi 痀女抄録 (くじょしょうろく) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.578 caratteri · 65 schermate
店の品を一つ二つ貰ってかえる。仕入れのことまでは思いが行かず、この人たちには、店にごたごた置き並べてある品物の、どれかをかい撮まないだけ損をする、とでもいうような気軽な風がみえた。
尾久の嫂は、素直な優しいひとで、言葉なども控え目に丁寧だったけれども、なにか、その丁寧さ優しさの中に、近寄り難い冷めたさがあった。
売上げだけでは到底過せなかったから、寿女はよく夜を徹して仕立物にかかりつめた。尾久の嫂の優しさに縋り付きたい気持ちで一、二度足をはこんだが、会うと、その丁寧な物腰言葉に妙に隔てられて、気詰りな思いばかりであった。
「折角、加福さんで手を覚えこんだのだから、何か刺繍の内職をしてみたらどうだろうねえ。お針のほうと違って、刺繍は値がいいそうだがねえ」
寿女が寝まない夜は、母親もまた枕の上で起きていた。そして、黄っぽく浮腫んだ面を横にしたまま褄さきや裾ぐけを手伝ってやりながら、窺うようにそんなことを言うた。
寿女は困ったようにちらと母親を見たが、それなり針を運ばせている。
母親は遠慮がちに、また、言った。
「加福さんに頼んでみたら、どうにか仕事をお世話して下さるだろうと思うがねえ。