Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate

Aozora Bunko

「頑なは、あいかわらずか」

と、尊氏の口から一ト言出ただけでしかない。

直義の頑なと尊氏がいった意味は、信濃にはそれだけでわかっていた。――直義の延福寺生活はもう五十日にもなるが、それは虜将にひとしい扱いだったので「約束がちがう」と初めから直義の感情をひどくこじらせてしまっている。

だからそれ以後、尊氏の胸をおびた者が、どんな慰撫をこもごも持って行っても「なにが和談だ!」と、あたまから受けつけもしないのだった。尊氏としては、こんどに懲りてふたたびこんなことの起らぬような、いわば直義のほんとの出家遁世を強いていたものであったから、直義が承服しないのもむりではない。逆にこれまでの不平をぶちまけて、兄の虚偽、不信、非情、卑劣をかぞえあげ、その罵るときはこめかみに筋をふとらせ狂者にまごうものさえあるとは、使いに立った畠山や今川もいう毎々なことばであった。

その直義が何としても屈しないのは、ただに骨肉の憎悪や甘えだけでなく、なお自分には多くの支持者があることを強く信じていたからであるらしい。事実、尊氏の幕僚中にもそんな気脈がないといえず、機会さえあればいつどんな逆変を現すかも知れないので、尊氏はそれも恐れた。