Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate

Aozora Bunko

すまなかった

と、身に併せて、生きとし生ける者への御誦念をお唇にもったのであるまいか。

わけても、乱世下においた、無数の民にたいしてである。

身にかへて

思ふとだにも

知らせばや

民の心の

治めがたきを

かつての御製には、そうした歌もみえている。王政一新の理想にしても、民を基盤としてのみあることだ。かならずや死に臨んではお胸にわびておられたにちがいない。

ともあれ、帝王として、また父として良人として、その死は、おおかたの人間とも、さして変ることはなかったであろう。ただ天皇のばあいは、その意志による御生涯の波及するところが、余りにも大きかったのはぜひもない。

吉野山

蔵王堂の艮なる

林の奥に

円丘を高く築いて

北向きに葬りたてまつる

――かくて、御一代の業は終った。そしてその土墳は、あとに残った旧臣后妃の涙に濡れた。

十月、大葬の営みがすむと、後村上の即位も、かたちばかり執りおこなわれた。

もしこういう時でなかったら、群臣、万歳の声にわいたであろうが、この祝典の日さえ、吉野の上は、うそ寒い秋の風だけだった。

なんといっても、枢軸の後醍醐をうしなった南朝の朝廷は、空閣の虚しさをどうしようもなく、前途を悲観する人々のあいだでは、はやくも、