Classici giapponesi con furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Leggi 童話集 春 (はしがき) di 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.531 caratteri · 97 schermate
一生懸命に、幸太郎は追っかけたから、やっとのことで追いついて、帽子のリボンを押えようとすると、またどっと風が吹いてきたので、こんどはまるで輪のようにくるくると廻りながら駆けだしました。
「坊ちゃん、なかなかつかまりませんよ。」
帽子が駆けながらいうのです。
すると、こんどは大通から横町の方へ風が吹きまわしたので、幸太郎の帽子も、風と一しょに、横町へ曲ってしまいました。そしてそこにあったビール樽のかげへかくれました。
幸太郎は大急ぎで、横町の角まできたが、帽子は見つかりません。
「ぼくの帽子がないや」
幸太郎は、もう泣きだしそうになって言いました。帽子をつれていった風も、幸太郎を気の毒になってきて、
「坊ちゃん、私が見つけてあげましょう。」
そういって、ビール樽のかげの帽子のしっぽを、ひらひらと吹いて見せました。幸太郎は、すぐ帽子のある所を見つけました。
「万歳!」
幸太郎は、帽子の尻尾をつかんで叫びました。
「風やい、もう取られないぞ!」
幸太郎は、帽子のつばを両手で、しっかり握っていいました。
「ほう、ほう」風はそう言いながら、飛んで行きました。
エプロンも、木の葉も、紙屑もまたダンスをしていたけれど、幸太郎の帽子はもうダンスをしませんでした。