Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
捨てたら、もう、あたしのもんじゃない。どうぞ、海にもぐって、拾って下さい」
「この野郎、途方もないこと、ぬかしやがる」
茄子色の鉄拳が、マンの頬に飛んで来た。
しかし、掌は空間で空舞いし、男はよろめいて、味方の一人にぶっつかった。
「娘ッ子と思うて、甘くあつこうとりゃ、ええ気になりやがって……」
四人の男たちは、いっせいに、マンに襲いかかって来た。
マンは、袋の鼠になった。
ところが、もみあって、幾ばくも経たない間に、角刈の茄子色は、奇妙な呻き声を発すると、そこへ、提灯をたたむように、へなへなと、坐りこんでしまった。顔色は大根葉色に変じ、眼も、口も、顎も、ひきつって、やがて、涎をたらして、地面に伸びた。
「おいおい、どうした?」
他の三人は、おどろいて、ぐったりとなった兄貴株の男を、抱きおこした。
そのときには、もう、マンの姿は、どこにも、見あたらなかった。
「殺られたのか?」
三人は、きょろきょろと、悶絶男の身体中を探したが、どこにも、傷痕はなかった。血も出ていない。しかし、男は虫の息である。
桟橋のところへ降りた一人が、海水を、手拭に浸して来た。それをしぼって、人事不省の男の顔をぬらした。