Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Leggi 花も刀も (はなもかたなも) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.364 caratteri · 178 schermate

Aozora Bunko

と、平八が云った。

幹太郎ははっと顔をあげた。平八の声で初めてわれに返り、気がつくと門人たちが、不安そうな眼でこっちを見まもっていた。彼は身ぶるいをし、首を振って平八から離れた。

――おしまいだ。

と、幹太郎は思った。

「平手、おれの部屋へゆこう」と、秋田平八が追って来た。

「おれに事情を話してくれ、先生にはおれから願ってみる」

「だめだ、万事終りだ」

「短慮はいかん、国のことを忘れたのか」

幹太郎は自分の部屋へはいり、黙って荷物をまとめた。

彼の体はふるえ、再び怒りがこみあげてきた。

平八が、「お父上のことを思え」と云った。

幹太郎は顔を歪め、まとめた荷物を手で叩いた。

――だめだ、おしまいだ。

と、彼は思った。

「これを預かってくれ」と、幹太郎は立ちあがった、「事情は話さなくとも自然にわかるだろう、いろいろ世話になったが、出てゆくよりしようがないんだ」

「しかし出ていってどうする」

「わからない」幹太郎は刀を取って差した、「なんにもわからない、おれは人も世も信じられなくなった、おれは僅かに田地や山林を守り、親や妹たちに人並な暮しをさせたいと思った。それを第一の目的に修行し、そのため人の試みない技をくふうして来た、それが……それが、こんな結果になってしまった、なぜだ、おれには説明ができない、いまはなんにもわからない