Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
「さあ、お久や、支度をしな」
と、急き立てるのであった。
「ちょっと、此処をきつうに締めとおくれやす」
ごわごわした、折り目から切れて行きそうな地のしっかりした八反の袷のうえに、これも相当に硬張ったものらしく袈裟のようにざくざくする帯を、云われないうちに締め直しにかかっていたお久は、そう云いながら老人の方へ結びめを向けた。
「どうだね、このくらいかね?」
「へえ、もうちょっと、………」
前のめりになろうとするのを腰で粘って受け止めているお久のうしろで、老人は額に汗を浮かした。
「どうも此奴は突っ張っているんで、締めにくいったらない。………」
「そないお云やしたかて、あんたが買うておいでたんやおへんか。わてエかてかなわんわ、しんどうて。………」
「だがいい色をしていますな」
と、同じようにうしろに立ちながら、要は感嘆の声を発した。
「何と云う色だか、この頃の物にはあんまり見ないじゃありませんか」
「なあに、やっぱり萌黄の系統なんで、今の物にもないことはないんだが、こう色がさめて古くなったんで味が出たのさ」
「何ですか、物は?」
「繻珍だろうね。昔の織物は何でもこの通りごりごりしている、今のはどんな物だって大概人絹が這入ってるんだから、………」