Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
「弟は何処で死んだのかね?」
「加奈陀で」
「いくつになるの?」
「四十八か、九か、それとも五十か、多分そのくらいになっていたでしょう」
「まだ死なないでもいい歳だのに。―――それじゃあなたは加奈陀へ行かなけりゃならないんだろう?」
「いいえ、止める、行ったって仕様がないんだから」
「その弟と何年会わなかったんです」
「もう二十年ばかりになります、―――千九百九年に、倫敦にいた時会ったのが最後でした、手紙は始終やりとりをしていましたけれど。………」
弟の歳が五十だとすると、このかみさんは今年幾つになるのであろう。考えてみれば要が彼女を知ってからでもすでに十年以上になる。まだ横浜が地震で今のようにならなかった時分、彼女は山手と根岸とに邸を構えて、いつも両方に女を五六人ずつは置いていた。神戸のこの家もその頃から別荘のようになっていたばかりでなく、そういう出店を上海や香港あたりにも持って、日本と支那とを股にかけてときどき往ったり来たりしながら、ひとしきりは可なり手広くやっていたのに、それがいつのまにか、彼女の肉体のおとろえると共に商売の方もだんだん振わなくなってしまった。