Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
その八
………」
「だけども、そりゃあ乱暴だなあ、将来の保証もなしに別れると云うのは。………」
自然と声が激して来るのをこらえながらそう云いかけた高夏は、その時両手を膝に置いてしずかに両眼をしばだたいている美佐子に気づいた。
「………僕はそんなんじゃあないと思った。………そう云っちゃあ失礼だが、夫を捨てて行くと云う以上は、もう少し真面目なんだろうと思っていたんだ」
「不真面目じゃあないことよ、あたし。………孰方にしたって別れた方がいいんですから。………」
「だからこうなる前にもっとよく考えりゃあよかったんだ」
「考えたっておんなじ事だわ。夫婦でもないのに此処にいるのは辛いんですもの。………」
両肩を張って、うなじを垂れて、涙を止めるのに一生懸命になってはいたけれど、光った物が一滴膝の上に落ちた。
その八
要はさっきからオブシーン・ブックのオブシーンである所以のところを見付け出そうとしているのだが、彼の手にしている一巻のうちには第一夜から第三十四夜までが収めてあって、菊版で三百六十ページもあるのだから、なかなか捜すのに手間がかかる。挿絵で釣られても中味は案外平凡な話が沢山ある。