Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
「おかあさま、うれしい? サンドウィッチだから」
昼間のいろいろなことであんなに伸子を傷つけた、そのひととは思えないうれしさのあふれた眼つきで、多計代は大きい白い枕の上で、頭をあっちに動かして、いくらか汗っぽい下の娘の十三歳の顔を眺め、こんどは頭をこっちに向けて、さっぱりしたうちにも、表情の成熟して来ている三十歳の伸子の顔を見た。そして、伸子がきかえた薄黄色地に小花模様の両腕の出る寝間着を、
「かわいくて、いいこと」
とほめた。
「それにしても、よく吉見さんが伸ちゃんを一人でよこしたね」
そんなことを云っている多計代はほとんどあどけないようで、一つ枕の上に並んだ多計代の髪が前髪をつめられ、八分どおり白くなっていることも、そこに不手際に黒チックが塗られていることも、伸子の心を動かすのだった。若いうちから最近まで多計代の御自慢だった、顎から喉へかけての柔かくゆたかな線がやせたためにゆるんで、喉に、年よりらしい二つのすじが立って見える。多計代の柔かな顎の下へ伸子は顔をおしつけた。伸子は小さな声で、
「やっぱりおかあさまのにおいがする」
と云った。
「何だろう、この人ったら。