Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

……してみると、どうせあいつも、何か弱い尻をもっているのにちがいないのさ。……いまに見てろい。ひどい目に逆ねじを喰わしてくれるから……。それに、あいつは……」

遮ぎりながら、西貝が、いった。

「それはそうと、新婚旅行の久我夫婦は、昨夜無事に発っていったかね」

「ふん、一等になんか乗りこんでね、溌剌たる威勢でしたよ。(急に声をひそめると)それについてね、あたしあ、ちょっと感じたことがあるんだ」

「どう感じた? ……羨ましくでもなったか」

チラリと上眼をつかって、「……ねえ、西貝さん。まさか久我は逃げたんじゃないんだろうねえ。……もし、そうだとすると……」

「殺ったのは久我だというのかね」

乾が空嘯いて、いった。

「あんたは知ってるさ」

西貝がはねかえす。

「そんなことおれが知るもんかい。……へへえ、古田と葵で足らずに、こんどは久我を密告つもりなんだな。……まるで縁日の詰将棋だ。あの手でいけなきゃこの手か。……おいおい、頼んどくが小生だけは助けてくれよ」

乾はニヤリと笑うと、

「……いつぞやもいいましたが、遺産をひっ攫ったやつをこの手でとっちめるまでは、死んだってあたしゃあきらめないんだ。