Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate
平次はどこで聞いたか、こう誘導的な問を持ちかけました。今では板倉屋伴三郎の寵者で通っているお勢が、かつて白旗直八に関係があろうとは、誰も知ってはいなかったのでした。
「どうしてそんな事を?」
「…………」
平次は黙って笑います。が、その自信のある眼差は、正面からお勢の表情の動きを見据えているのでした。
「でも、五年も前のことなんです――私は一本になったばかり、白旗さんだって部屋住みで、長くは続かなかったんですよ」
お勢は眼を伏せました。旧い悔恨が、チクチクと胸に喰い入る姿です。
「板倉屋はそれを知っていたのか」
「え」
「…………」
「でも、板倉屋の旦那はそんな事を恨みになんか持っちゃいません。昔の昔の事なんですもの。私ども稼業の者にしちゃ一年は十年で」
「…………」
平次の眼が依然として和まないのを見るとお勢は淋しそうに首を垂れました。
「それに、近頃は、お駒さんに夢中なんですもの、――私のことなんか」
「そいつは初耳だ、嘘じゃあるまいな、お勢」
「嘘なんか言やしません。――そのお駒さんが。白さんに気があったことも親分さんは御存じないでしょう――でもこんなにみんな言ってしまっていいでしょうか」