Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

江戸開府以来といわれた、捕物の名人銭形平次の手柄のうちには、こんな不思議な事件もあったのです。――これは世に謂う捕物ではないかも知れませんが、危険を孕むことにおいては、冷たい詭計に終始した捕物などの比ではないといえるでしょう。

「親分ッ」

飛込んで来たのは、ガラッ八の八五郎でした。

「何というあわてようだ。犬を蹴飛ばして、ドブ板を跳ね返して、格子をはずして、――相変らず大変が頓馬に乗って、関所破りでもしたというのかい」

平次は朝の陽ざしを避けて、冷たい板敷をなつかしむように、縁側に腹ん這いになったまま、丹精甲斐のありそうもない植木棚を眺めて、煙草の煙を輪に吹いておりました。

「落着いちゃいけねえ、いつもの大変とは大変が違うんだ、ね、親分、聞いておくんなさい」

「大層な意気込みだね、手前の顔を見ていると、――一向大変栄えもしないが、一体どんなドンガラガンを持って来やがったんだ」

平次はまだ庭から眼を移そうともしません。この姿態のまま、路地で犬を蹴飛ばしたことも、ドブ板をハネ返したことも、格子戸をはずしたことも気が付いていたのでしょう。

「親分、縄張内から謀叛人が出たらどうします」