Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 142.597 caratteri · 289 schermate

Aozora Bunko

三

「品川の大黒屋の方に何かあるだろう」

「すぐ行きますか、親分」

「向うへ着くと暗くなるが、一と晩の違いで三千両の始末をされるのも業腹だ。行ってみようか」

「ヘエ」

平次と八五郎はそこから品川まで、三里の道を急ぎます。

三

大黒屋の前は真っ黒に人立ち、ここには思いも寄らぬ大変な事が始まっておりました。

「えッ、黙らないか、武士に向って誘拐とは何だ。――借金の抵当に、今晩は拙者が直々に伴れ帰り、内祝言を済ませて、宿の妻にするに何の不思議だ。それが厭なら、用立てた金子百五十両、三年間の利に利が積んで、六百五十両になる、今ここで返して貰おうか」

威猛高になるのは、三十五六の浪人、高利の金を貸して、品川一円の憎まれ者になっている、沢屋利助の用心棒、大川原五左衛門という御家人崩れです。

「旦那、それは御無理で、沢屋さんから金は借りましたが、旦那に娘をあげるとは申しません。それに重なる災難で、昨日も三千両の金が紛失し、思案に余っているところでございます」

店の板敷に額を押しつけぬばかり、亭主の常右衛門の声は濡れておりました。五十七八のまだ働き盛りですが、苦労にやつれた痛々しさは、痩せた肩にも、そげた頬にも刻み付けられた姿です。