Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 114.139 caratteri · 233 schermate
「溝口屋の親分の心祝いだったそうで、宵から大変な騒ぎでしたよ。――もっともこちとらには、何の関係のあることじゃございません。あっしは一と晩尺八ばかり吹いていました」
ガラッ八に似た馬面を振り仰いで、馬吉は淋しく笑うのでした。あれほどの祝事にも、近所には何の挨拶もなかったのでしょう。
「溝口屋はそんなに近所で評判が悪かったのか」
「ヘエ――。こちとらのひがみかも知れませんが、あっしのもとの親分の、飯田町の伏見屋のようなわけには参りませんよ。伏見屋じゃあんな騒ぎのある時は、近所へ一人前ずつでも膳部を配って、おやかましゅうございますと、丁寧に挨拶したものですが、ヘエ」
馬吉の不平は、そういったひがみにすぎません。
平次はなおも近所の噂をあさりましたが、馬吉と大同小異で、溝口屋を憎む心には、何か一貫したものがあるようです。
中に入って調べると、溝口屋の間取りは、佐吉から聴いた通りで、三十八人の眼を免れて、鐘五郎の部屋に入る方法のないことは、あまりにも明らかでした。鐘五郎の部屋というのは、一番奥の八畳で、九月の声を聴くと、夕方から締めきり、寝る時は鐘五郎自身、もういちど戸締りを見直すという厳重さで、庭から忍び込む方法のないことも佐吉の言った通りです。