Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.082 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

後ろで聴いている八五郎の口が、拳固が一つ丸ごと入る位、ポカリと大きく開いたほどです。

「驚くだろう、銭形の親分、――口惜しいことに、誰かが先を潜って、あの女を殺してしまった――私はこんな手持無沙汰な心持になったことは無い」

阿星右太五郎はこんな途方もないことを、苦がりともせずに言ってのけます。

「それはまた、どういうわけです、阿星様」

「聴いてくれ、私には、たった一人の倅があった。右之助と言ってな、先ず十人にも優れた若者であった――と申しても、決して親馬鹿の言い草では無い。ところで、この私が十年前に浪人したのは、私の不徳のせいでいたし方も無いが、せめて倅を元の武家にしてやり度さに、今から二年前二千両という大金を積んで、御家人の株を買わせ、兎も角も直参に取り立てられた」

「――」

「どうせ株を買った御家人だから、最初から良い役付を狙うわけに行かない。閑職の甲府勤番になるのも、出世の階子段の一つと思い、充分教えもし励ましもして、甲府へ差立てた」

「――」

「が、禍いは何処にあるかわからない。甲府から江戸へ、御上の御用で幾度となく往来するうち、――年頃の倅を一人で置いたのが親の手落ちであったが、右之助はフトあのお園という女に迷い、夥しい御用金に手をつけ、進退谷まって――今から半年前腹を掻き切って死んだのじゃ」