Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.082 caratteri · 257 schermate
それは気まずい月見の宴でした。時の氏神の国府弥八郎が、一人で弁じ立てますが、主人の永左衛門も、客の久我之助も、黙りこんで受け応えをするでもなく、国府弥八郎の駄洒落が騒々しく空廻りをして、一層座を白けさせるだけです。
「入らっしゃいませ」
ほんのりと掛香が薫じました。どうかしたらそれは、世にも稀なる、あで人の肌の匂いだったかも知れません。顔を挙げて見ると、空の色よりも青い小袖、ほの白い顔が灯の側にパッと咲いて、赤い唇だけが、珠玉の言葉を綴って艶めかしく動きます。
「――」
久我之助も弥八郎も、思わず丁寧過ぎるほど丁寧に礼を返しました。
眉こそ青々と落して居りますが、頬の曲線の柔かい細面、顔を伏せると、美しい鼻筋がスーッと通ります。
「御内儀、飛んだ御世話に相成る」
などと国府弥八郎は、取ってつけたような世辞を言いますが、素より白けた座を救う由もありません。
お染はさすがに、この座の息苦しさに堪えられなかったものか、間もなく引下ってさて、それからの酒は羽目を外しました。
主人の永左衛門もさることながら、客の大井久我之助は、いくら呑んでも酔が発しないらしく、まさに鯨飲という物凄さです。