Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.082 caratteri · 257 schermate

Aozora Bunko

「あれッ、御新造様」

隣の部屋は、火の付いた騒ぎでした。

「何うした、騒々しい」

吾妻屋永左衛門は僅かに身体を動かして振り返ります。

「御新造様が、危い、あれッ」

二人の芸子は内儀のお染に絡みついて、その手から短刀をもぎ取ろうと争い続けて居るのでした。

「ならぬぞ、見苦しい」

永左衛門は思わず声が高くなります。

「でも、わちきのためにお二方が――」

思わず里言葉の出るお染の薄墨大夫は、此処まで来る前に、この無法な企てを、どんなに止めたことでしょう。

「男と男の意地だ――それとも夫の私が、もう一度泥の中に這わされ、虫のように殺されるのを見て居る積りか」

「――」

そう極めつけられると、お染は返す言葉もありません。短刀を取上げられて青い袂に顔を埋めたまま、声を立てて泣く外は無かったのです。

「よし、呑むぞ、拙者はこれだ」

大井久我之助は猿臂を伸して、一本の徳利を取りました。お染の演じた激情的な情景に勇気をかき立てられたのでしょう、早くも大振りの盃に注いで呑もうとするのを、

「待った、二人一緒でなければ――」

国府弥八郎に注意されて、しばらく躊躇する隙に、残る一本の徳利は主人の永左衛門が取上げたのです。