Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あめのたまがわしんじゅう

雨の玉川心中

山崎 富栄

Leggi 雨の玉川心中 (あめのたまがわしんじゅう) di 山崎 富栄 (やまざきとみえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.997 caratteri · 129 schermate

Aozora Bunko

五月四日

五月五日

そして先生の背はいつものようにまるい。雨あがりの道は足を吸いこんで放さない。唸りたいような声を押えて堤を折れる。

テッサの心以外、何ものもない今の私。

“困ったなあー”

“涙は出ないけれども泣いたよ”

“死なない?”

“一生こうしていよう”

“困ったなあー”

先生の腕に抱かれながら、心よ、先生の胸を貫けと射る――どうにもならないのに。いつまでもお幸せで、いつまでもお幸せでと。

忘れられない――振り返って、もう一度とび込んできて下さった心。心……ああ、人の子の父である人なのに、人の妻である人なのに――“君を好き!”先生、ごめんなさい。

五月四日

先生の心なんか分からない。

分かるもんか!

馬鹿。分かるもんか!

頭が渾沌としてしまって空廻りだ。

女。唯それだけのもの。飽和状態の私。

どうしていいのか、拭いとりたい気もするし、ずるずると入りこんでしまいたい気もする。

おい、お前! 助けてくれ。酔えなくなったのはお前のせいだ。鼻もちならない! ウンフフ、馬鹿々々、消えろ、消えてしまえ。やい、とみえ、起きろ、路傍の花など摘んでくれるな。いや、もういや。

五月五日