Classici giapponesi con furigana
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せいどうのキリスト
青銅の基督
長与 善郎
Leggi 青銅の基督 (せいどうのキリスト) di 長与 善郎 (ながよよしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.703 caratteri · 133 schermate
六
そして例のコンタスに幾度も接吻しつづけながら、室の中を歩き回っていた。
六
裕佐はその日の日暮れ近くまで客を待っていた。しかしだれも来なかった。で、彼は先刻から選りそろえておいた七、八冊のさし絵入りの漢書――それは皆彼の父が丹精して手に入れたものであった――を風呂敷に包み、また、彼の父が始めて南蛮鋳物の術を習いに幕府からヨーロッパへ派遣させられた時のみやげである小さい浮き彫りの鋳物をふところに入れると包みを抱えてふらりと表へ出た。
古書と古道具の一切を売買する銅座町のある店で彼はその漢書を売り、またその浮き彫りを見せた。それは「大天使みける」が竜とたたかっている黙示録の中の一図で、むろんキリスト教に関係のある物ではあるが、直接ヤソの生涯を題材にしたものではないので、単なる異国の美術品として、門外漢に見せてもすぐさま疑られるおそれのある品ではなかった。
「結構なもんですなア。なんですか、これも譲っていただけましょうか。」
狡猾そうな主人はよだれを流さんばかりの表情を隠し得ずにこういいながら彼の顔色をうかがった。
「いや、それは売るんじゃないんです。」
裕佐は思わずこう答えた。