Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Leggi 鷲 (わし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.476 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

高谷君と丸山とはうす暗い部屋のなかに向い合って、だまって煙草をすっていた。テーブルの上には蝋燭の火がぼんやりと照らしていたが、それも隙間から吹き込んでくる飛沫に打たれて、幾たびか消えるので、丸山もしまいには面倒になったらしく、消えたままに捨てて置いたので、小屋のなかは真の闇になってしまった。ただ時どきに二人がするマッチの光りで、主人と客とが顔を見合せるだけであった。

となりの部屋では勇造が夕飯のあと片付けをしているらしく、板羽目の隙間から蝋燭の火がちらちら揺らめいていたが、それもしまいには消えてしまったらしい。雨は小やみなしに降っていた。

「随分ひどい。今夜はいつもより余ほど長いようだ。」と、暗いなかで丸山は言った。

高谷君はマッチをすって懐中時計を照らしてみると、今夜はもう九時を過ぎていた。この暗い風雨の夜、しかも恐ろしい怪物があらわれるとかいうこの小屋に、丸山と勇造と自分とたった三人が居残っただけで、小屋の内は愚か、この島じゅうに誰も人間らしいものは一人もいないのかと思うと、高谷君はいささか心寂しくなって来た。そのおびえた魂をいよいむ脅かすように雷が激しく鳴り出した。