Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
物の気配を感じたので、また浮藻は眼をあけて見た。
漢権守と医師とが、枕もとに立っていた。
分銅のように見える権守の、被布をかぶった丈高い体の、顔の部分にある二つの穴から、浮藻を見詰めている眼の光は、燃えている黒いのようであった。
「……脳髄の入れ替えじゃ。何んでもないよ、入れ替えじゃ」
枯れ葉が高い梢の先で、風に吹かれて揺れているような、嗄れたカサカサした声であった。
「脳髄の入れ替え? ちとそれは……」
と、生皮剥ぎの薄刃物の刃を、掌にあてて験しながら、当惑したように医師は云った。
「命もちませんでござります」
「ただ脳髄を入れ替えるだけじゃ。……何んでもないよ、入れ替えるだけじゃ」
医師は当惑したように、長い間の惨酷な所業に、無表情になっている仮面のような顔へ、皺をたたんで沈黙した。
「まず頭の生皮を剥いで、ついで頭葢骨を上手に割って、そっと脳髄を取り出だして、その後へ羊の脳髄を入れる。……アッハッハッ珍なものが出来るぞ。……それから上手に頭葢骨を継いで、そっと生皮をかぶせるのじゃ。……何んでもない、何んでもない」
そう云っている間も権守は、二つの穴から浮藻の顔を、食い入るように見詰めていた。