Classici giapponesi con furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Leggi あさひの鎧 (あさひのよろい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 239.520 caratteri · 475 schermate
「しかし」
と、医師は恐る恐る云った。
「脳髄の組織に至りますると、まことに微妙でござりまして、なかなかもちまして入れ替えなど。……さようなことをいたしましたなら、この女の命はすぐに……」
「何んでもない、何んでもない」
と、漢権守は抑えるように云った。
「ほんの簡単な解剖なのだ。ほんの手軽な手術なのだ。苦痛もまことに少いし、命には何んの別状もないし……それに羊の脳を入れたら、この娘ごは以前よりもずっと、穏しやかになるであろうし……何んでもない何んでもない」
(変だ)
と医師は思ったようであった。
(これはこの女を殺すつもりなのだ)
「ではまず頭の生皮を剥ぎ……」
と、握っていた薄刃物を、天井から宙へ下がっている、唐土渡りらしい飾りのついた、切り子形の龕の燈火にかざしながら、医師は決心したように云った。
「試みますでござりましょう」
「早くおやり、時刻が経つから。……邪魔がはいらないものでもない」
冷たい医師の左の手が、浮藻の蒼褪めた額を抑えた。
「…………」
活躰解剖の犠牲者の口から――立て板にしばられている男女の口から、苦痛に充ちた呻き声が洩れた。
部屋は血腥い臭気ばかりであった。