Classici giapponesi con furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Leggi いやな感じ (いやなかんじ) di 高見 順 (たかみじゅん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 292.113 caratteri · 587 schermate
俺に組みしかれたあとでも、いけすかないと言いつづけていたそのおいらんが、
「まーだ? フチが疲れる」
なんて、ぬかしているうちに、急に真剣になってきて、やがて商売のブンヤ(よがり泣き)とはちがうネをあげたのには俺もたまげた。まるで俺が人殺しでもしているみたいな、すごい悲鳴だった。
そのあと、照れたのか、くやしかったのか、
「いけすかない」
と女は言った。
「アラ、エッサッサ、紙おくれときやがら」
凱歌のように俺は浅草の安来節を女の腹の上で歌った。浅草の小屋ではそのころ、この「エッサッサ」の個所で客がある種の言葉(と俺も照れて伏せておくが)を合唱したものである。
翌日、俺は波子をひとり残しておいた旅館へ、昼近くに帰った。波子の姿が見えなかった。早速、東京見物にでも出て行ったのかと思ったら、そうじゃなかった。置手紙がしてあって、それには――住み込みの家がきまったら、知らせますと、思ったより上手な字で書いてあった。
「へーえ、そうかい」
俺は心に痛みを覚えたから、かえって冷ややかにせせら笑って、
「気の強い女だ」
よけいなことは何も書いてない。それだけに、たった一枚の紙が変に重く俺の手に感じられた。