Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Leggi いやな感じ (いやなかんじ) di 高見 順 (たかみじゅん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 292.113 caratteri · 587 schermate

Aozora Bunko

「加柴、もうやめろ。すこし、のぼせあがってやがる」

その砂馬に猪沢が、

「いや、こういう人物を俺は買うね」

俺を庇うというよりは、俺をほんとに品物みたいに買いたそうな口調だった。砂馬がそれに対してにがにがしく、

「加柴は昔からのあたしの仲間で、残念ながら猪沢さんには……」

「売れねえか」

と俺は言って、冗談じゃねえやとこれを口の中で言った。

その夜、俺は浅草のひょうたん池へふらふらとひとりで出かけて行った。いや、実を言えば――ふと、気がつくと、ひょうたん池のそばに来ている自分を見出していたのだ。六区の映画館街は割引のベルが鳴っていて、雑沓する人々の足音も騒々しい。そのザブ(雑沓)のざわめきが、暗い池の端に立った俺の耳には何か遠い潮騒のようだった。

豚箱で会った、アビルと自称していた男が、ひょうたん池でまた会おうと俺に言った。それを俺は思い出し、それが俺をここへ導いたのだ。

藤棚の、葉は落ちて枝だけの、その枯枝みたいなのが蛇のごとくにくねっている下に、ガタ公(乞食)としか見えない男が、寒風にさらされながら、ローソクを片手に持って立っていた。ボール紙で手製の囲いをして、さらにそのローソクの火を風に消されないように身体で蔽って防いでいる。