Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Leggi いやな感じ (いやなかんじ) di 高見 順 (たかみじゅん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 292.113 caratteri · 587 schermate

Aozora Bunko

酒でなく、ムギ茶である。死んだおふくろを俺に思い出させた中年の女中はどうしたろう。

「前の女中さんは?」

俺が聞くと慷堂は、

「息子が除隊になったんで、やめたんだが」

「それはよかったですね」

「だが、また召集が来たそうだ」

「可哀そうに、支那へでも連れて行かれたかな」

将校の前で俺はわざとそんな言葉を使って、

「先生もご存じと思いますが、矢萩さん――せんだって矢萩大蔵氏がはるばる僕んところへ見えました。支那へ一緒に行かんかと……」

慷堂は黙って団扇を使っていた。

「でも、ことわりました」

「ことわった?」

なぜ? とは聞かず慷堂は、

「支那本土へ日本軍がはいって行くのは考えもんだな。矢萩大蔵は欣喜雀躍かもしれんが、わしは不賛成、反対だ。あの大陸へ手を出したら、泥沼にずるずるとひきこまれるようなもんじゃ」

相手は一応、抗戦してくるだろうが、きっと退却戦法を取るにちがいない。日本軍は進撃また進撃、勝利がつづいて大喜びだろうが、その実、占領地域がふえて大変な負担だ。向うはそれをねらっているのだ。日本の武力や財力をそうして消耗させる寸法なのだ。ずるいというか、利口というか。