Classici giapponesi con furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Leggi おさん di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.128 caratteri · 66 schermate
二の五
二の五
「外は白んできたわ」と云いながら、おふさがはいって来た、「眠ってるの」
参太は枕の上で振向いた。おふさは掛け夜具を捲って、彼の横へ身をすべらせ、頬ずりをしてから顔をはなした。
「朝顔が咲くのを見たわ」おふさは夜具の中で参太の手を引きよせた、「手洗鉢の脇の袖垣に絡まってるの、なにか動くようだからひょいと見たのよ、そうしたら朝顔の蕾が開くところだったの」
「九月に朝顔が咲くのか」
「小さいの、これくらい」おふさは片手を出し、拇指と食指で大きさを示した、「それがまるで生きてるみたいに、いやだ、生きてるんだわね」おふさはくすっと笑った、「くるくるっと、こういうふうにほぐれるの、巻いている蕾がくるくるっとほぐれて、先のところにほころびができるの、着物のやつくちみたいに、ひょっとほころびができたと思うと、それがぱらぱらっとほどけて、ぽあーっと咲くの、――なにが可笑しいのよ」
「初めがくるくる、中がぱらぱら、そしてぽあーか、まあいいよ」
「かなしかったわ」とおふさは溜息をついて云った、「――九月の朝顔、時候はずれだから見る人もないでしょ、花も小さいし、実もならないかもしれないのに、蕾であってみればやっぱり咲かなければならない、そう思ったら哀れで哀れでしようがなかったわ」