Classici giapponesi con furigana
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おさん
おさん
山本 周五郎
Leggi おさん di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.128 caratteri · 66 schermate
「結局、おさんは独りで厄を背負ったんだな」歩きながら彼は呟いた、「おれはこうして生きている、おれはいつも逃げた、おさんからも逃げたし、ゆうべは作次からも逃げた、――みんなは逃げなかった、おさんは殺されるまで自分から逃げなかったし、作次はあんな姿になるのもいとわなかった、そして岩吉はいま牢にいるというし、牛込のほうの男は白痴のようになってしまったそうだ」
参太は立停った。駕籠がゆき、馬に荷を積んだ馬子がゆき、浪人ふうの三人伴れが、彼を不審そうに見ながら通りすぎた。
「しんけい寺とかいったな」暫くしてそう呟き、その自分の声で参太はわれに返った、「――慥かしんけい寺と聞いたようだ」と彼は自分を慥かめるように、声を出して云った、「この近くだろうな、訊いてみよう」
真慶寺はそこから四五丁先にあった。そこは寺と寺にはさまれていて、あまりいい檀家がないのか、小さな黒い山門も片方へかしいでいたし、境内には雑草が伸び、墓地には石塔の倒れたままになっているのが眼立った。庫裡へ寄るつもりだったが、死んでから供養するのもそらぞらしいし、そんなことでおさんがうかばれもしまいと思い、そのまま墓地へはいっていった。