Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Leggi かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.006 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

「この次は、サイベリア丸だとさ」

呉の客を送って、すぐに越の船の入港日を税関の前の掲示板で見ながら、よく戦った白粉の女たちは、裾寒げに、ぞろぞろと、自分の巣へかえってゆくのだった。

「や、ご苦労、ご苦労」

高瀬理平は、やっと一船かたづけて、ほっとしたように、腰をたたいた。――その朝は、千歳の女将が姿を見せなかったので、船の外人を送ってきた芸妓たちも、何となく、つぎ穂がなく、まじめに挨拶をして、それぞれの方角へ、俥の幌をかぶって、帰って行った。

「旦那さま、旦那さま」

桟橋を出ると、すぐに、迎えの馬車が理平の方へ寄って来た。

「お疲れでございましょう」

と、お槙は、一昨日の晩から、別人のように彼に親切だった。こんな朝はやくに、彼を迎えに来ることだって珍しいのであった。

「――朝は、だいぶ寒くなったな。もう季節だとみえて、鯊釣の竿が見えだした」

「夜ふかしがつづいたせいでございましょう」

「それもある。……あ。奈都子はどうしたね、医者に見せたかい」

「あれから、ずっと、寝ております。石川博士が毎日診察に来てくださいます」

「病名は」

「やはり神経性のものだろうと仰っしゃるんですが」