Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Leggi かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.006 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

「昨ばんはどうも」

と、主人の春太郎という、自分も、抱えといっしょに、座しきに出ている三十ぐらいな働き芸妓、

「今朝もはやくから、蔦家さんのところへ呼ばれて」

「朝から、半玉が出るなんて、いい景気だこと」

「おかげさまでね」

「それに、あの妓は、まるで、お人形だから、お客には、いい玩具だろうよ」

「何しろ小さくってね」

「内気だけど、品がいいもの、ほかの雛妓さんと来たら、私たちでも、顔負けがするのがあるもの」

「感心なことには、五十銭でも一円でもお小遣いがあると、家へ送ってやるらしいんですよ。なんでも、おっ母さんというのは、まだ若いらしいけれど、盲目だとかいうのでしてね」

「へ。家は」

「それを言うと、いやがるんですけど、相沢のイロハ長屋……」

と言いかけて、口をむすぶと、格子が軽く鳴った。木履の鈴の音は、豆菊だった。

「あら、もう帰って来たの」

豆菊は、すぐ千歳の女将の方へ、

「きのうは、有難うございました」

「まるで、家の娘みたいだね」

「置いてみれば、可愛いもんですから」

と、言って春太郎は、豆菊の方へ向いて、

「どうしたの、お座しきは」

「あの、蔦家のお客さんが、伊勢佐木町へ連れてゆくと言うのよ、わたし、昼間だから、いやだって、言ったんだけれど」