Classici giapponesi con furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Leggi かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.006 caratteri · 182 schermate
「晩には、きっと、見えましょう」
黒眼鏡は、店じゅうの時計の時間を見くらべて、
「それでは、もういちど、晩に来よう」
「ご足労でございました」
「値だんは折り合うから、なるべく、買い取ってくれたまえ」
「はい」
店先を出て行くと、男は、中折帽のやまへ手をやりながら、往来を見わたして、向うの角に見えた豆菊と芸妓の方へ、大股にあるき出した。
郵便箱の蔭にかくれていたトム公は、男の足がはやくなったのをみると、ついと飛び出して、一本指を上げた。
「おい、君、君」
愚連隊の西村と樫井だった。馴れ馴れしく、両方から肩をつかんで、
「手間はとらせんが、ちょっと来てくれないか」
黒眼鏡の顔が、さっと、青く冴えた。
「どこへ」
「警察たあ言わねえよ、僕らは、刑事じゃないからね、安心して来たまえ」
「誰だ、君たちは」
「横浜にいて愚連隊を知らないのか」
「…………」
「まあいいから来たまえ」
「いや、僕は、連れがいるのだから」
「連れは連れで、また、いつでも別な日に会ったらいいじゃないか」
しっかり、両方から腕を拱んで、ずるずると吉田町の河岸まで来ると、樫井と西村は、いきなり男を河の中へ突き落した。