Classici giapponesi con furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Leggi ちくしょう谷 (ちくしょうだに) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.788 caratteri · 138 schermate
隼人は静かに顔をあげた、「おれはいつか根岸伊平次に、兄の口まねをしてこう云ったことがある、――人間のしたことは善悪にかかわらず、たいていいつかはあらわれるものだ、世の中のことはながい眼で見ていると、ふしぎなくらい公平に配分が保たれてゆくようだ――」
帯刀は太い息を吐き、あぐらに坐り直して、脛をぼりぼりと掻いた。
「では、――」と帯刀は云った、「このままなにもするなと云うのか」
「その男を罪死させるか、侍らしく立ち直らせるかとなれば、兄は必ず後者を選ぶだろう」
「隼人自身はどう思うんだ」
「こんどの事についてはおれの考えはない、兄ならこうするだろうと思えるようにやってゆくだけだ」
帯刀はじっと隼人の顔を見まもった。
――人間はこんなにも変ることのできるものか。
帯刀の眼は感嘆の色を湛えた。江戸から帰って以来、隼人は顔つきから人を見る眼色まで変った。暴れ者で一徹で、こらえ性のなかった彼が、兄を殺した相手をゆるし、不当な譴責を忍び、そして流人村の住民を救おうとしている。――いったいどういう機縁でこんなに変ったのか、死んだ織部どののためか、それとも織部どの同様、もともと彼にもそういう性質があったのか。