Classici giapponesi con furigana
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ひどいけむり
ひどい煙
久生 十蘭
Leggi ひどい煙 (ひどいけむり) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9064 caratteri · 18 schermate
二
御鉄砲御用衆、というより日本人は、生れてはじめて破裂弾というものを、その目で見た。鉛小弾と鉄釘を充填した一発の榴霰弾が、一挙に三十人以上の人間を炮殺するすさまじい光景に接して、酔い痴れたるがごとくに陶然とした。井上の子の半十郎と稲富の子の喜三郎が、外記の命令で榴霰弾の扱い方を実習した。それは、落城間近い、二月のはじめごろだったが、射っても、射っても、
「サンチャゴ・サンタマリア」
と絶叫し、手をつなぎながら馬出しから飛びだしてくる女子供を、数も知れぬほど榴霰弾の餌食にした。
二
商館長に任命されたカロンは、寛永十六年の二月中に、平戸で、余儀なく臼砲の鋳造をせねばならぬ羽目になった。原城の攻撃は、平射砲でなくて曲射砲だったら百倍の効果をあげていたろうと、口を辷らしたのが松浦侯の耳につたわり、今年の参府のお土産はそれにしようと、勝手にひとりぎめして、紐差の山裾に、さっさと鋳造所をこしらえてしまった。
東印度会社の内規で、日本人のために大砲を鋳造すること、大きな射程をもつ蛇砲及び臼砲の諸元を日本人に洩らすこと、砲手を送ることは厳禁になっていたので、カロンは進退に窮したが、謝絶する措辞を思いつくことができなかったので、ハンス・ウォルフガングという砲工と相談して、禁令に抵触せぬ、「たぶん弾丸の飛びださない」