Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Leggi へちまの木 (へちまのき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.120 caratteri · 58 schermate

Aozora Bunko

彼は文華を突き放した。文華はよろけていって、障子ごと廊下へ仰向けに倒れた。そのとたんに木内桜谷がはね起き、いきなりちょび髭に馬乗りになって、片手で衿を掴み、片手で相手の頬を、撫でるように殴った。

「この野郎、人をばかにするな」と木内はどなった、「人をばかにするな、この野郎、このちょび髭野郎、人をなんだと思ってるんだ」

本当に怒ったときには、人間には思うようなあくたいがつけないものだ、と房二郎は自分のことをこめてかなしく思い、木内桜谷の肩を叩いて、もういいよ、帰ろうと云った。そこへ階下から、女狐のおそでが駆けあがって来、ちょび髭が組伏せられているのを見るなり、逆上したようにきーっと叫んだ。

「泥棒や、人殺しや」とおそでは足踏みをしながら喚いた、「誰か来て下さい、泥棒ですよう、人殺しですよう」

そして、木内桜谷にむしゃぶりつこうとした。房二郎はそれを突きとばし、木内の肩を掴んで文華から引き剥がした。刷り部屋はしんとしていて、人の声も聞えず物音もしなかった。おそでは仰向けにひっくり返り、としに似合わぬまっ赤な下の物と、焦茶色の脚が、云いようもなく醜悪に房二郎の眼にうつった。