Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.043 caratteri · 56 schermate
あたしたちに恥をかかせたくないと思ったら」
剛子は、これにも素直にうなずいた。読書をするのがなぜお嬢さんらしくないんですか、などとききかえしはしなかった。たぶん、皮肉にきこえるだろうと思ったから……。相手が叔母でなくとも、こんなちいさなことで争う気にはなれないのである。
叔母が図書室を出てゆくと、剛子は、ひくい声で自分にいってきかせた。
「ほんとに、あたし、お嬢さんでなくてよかったわ」
剛子は立ちあがって窓から首をつきだす。樹墻を越えてその向うに、川奈ゴルフ・リンクのフェア・ウェイがひろびろとひらけ、ゴルファーが歩きまわっているが指のさきほどに小さく見える。剛子は田園嫌いではないが、どうも、これはすこし退屈な風景である。
心そこから閉口して、ひとつ、伸びをすると、
「死にそうだわ」
と、つぶやいた。
のびのびと発育した、キッチリと肉のしまった五尺四寸の若々しい肉体が、クッキリと床のうえに影をおとす。胴はほっそりとしているとはいいがたいが、しかし、ミロのヴィーナスのあの健康な腰だ。灰色の単純なデザインのワンピースが、身体にそっていかにも自然な線を描きながら垂れさがってる、顔はいつも艶々と光っていて、元気のいい子供のような新鮮な印象をあたえる。