Classici giapponesi con furigana
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
Leggi 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集 (いきりょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.698 caratteri · 42 schermate
ひっ掻かれでもしたらたいへんだと思って、少々たじたじになって後退りしたはずみに、絡みあっていた辣薤の茎に踵をとられて、あおのけにどすんと畑のなかに尻餅をついた。
うんとこさと綿のはいった褞袍をじだらくに着こんで前はだけになっていたものだから、ころんだ拍子に褞袍の裾が朝顔の花のようにおっ開いて、なんともみっともない恰好になった。
畑の柔土へ腰がめりこみ、褞袍の裾が草にひっ絡んで急には起きあがれない。だらしなくもがいていると、狐が三十郎の頭のうえで、ほほほ、と笑った。
三十郎は勝手にしろと、畑の中にひっくりかえったまま眼をとじていると、狐がいい声で、
「いやだ……なんて恰好をするのよ。……しつれいよ」
「へへん、だ」
「まあ、生意気だ……いやな狐!」
「どっちが! 縹緻がよくたって、あまりいい気になるな」
「わかった……あたしが笑ったんで、それで、むくれているんだわ……そんな恰好をしていないで起きなさいってば! 尻尾がまるだしだ」
三十郎の鼻の孔を、なにかふんわりとしたいい匂いがくすぐる。眼をあいて見ると、寝っころがっている三十郎のすぐ顔のそばへ狐がしゃがんでいる。