Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

と云った。

「お伴れさまは」と女中が訊いた、「お伴れさまをお呼びしましょうか」

「だめ、酔いつぶれて寝ちゃってるの」とおりうはかぶりを振った、「迷惑でしょうけれど起きるまでそっとしといて下さいな」

「迷惑なんてとんでもございません」女中はいそいで云った、「――でもあなた、お一人で大丈夫でございますか」

「駕籠をひろってゆくから大丈夫」おりうは紙に包んだものを女中に与えた、「これはあなたに、――お世話さまでした」

そしてその座敷から出ていった。

夜の十時すぎてから、蝶太夫の死んでいることがみつけられた。彼は平打の銀の釵で心臓を刺されたもので、釵は刺したままになってい、その枕許に一片の椿の花びらが落ちていた。――その座敷に椿などは活けてないので、よそから持って来たものであろう。その真紅の一片の花びらは、まるでなにかを暗示するように、ぶきみな印象を人々に与えた。

「あの人がやったのね」と係の女中が怯えたように云った、「それで吐いたりしたんだわ、ああいやだ」

「心中のしそこないじゃないかしら」とべつの女中が云った、「あの人おとなしそうだったもの、いまごろ大川にでもとび込んでるかもしれないわ」